校閲目線で旅がより楽しくなる!? ~海外で見つけたおもしろ日本語訳~
……どんな場所にいても、ついつい文字に目が引き寄せられてしまう。
某ドラマで石原さとみさんが演じられていた「校閲」役の女性は
街中の文字を校正・校閲しながら出勤されていましたが、
実際に私たちも多かれ少なかれ普段から目が“勝手に”文字を探してしまいます。
それはもはや、校正・校閲士のサガと言えるのかもしれません。
そのせいか、筆者は海外に行くとよく現地で文字(日本語)を発見することが多いです。
右も左もわからない海外で、日本語を見かけるとそれだけでなんだか安心しますよね。現地の方に歓迎されているような気分にもなって、とても嬉しくなります。
そして、こうした現地の方が書き記してくれたのだろう日本語訳のなかには、思わず吹き出してしまったり、和やかな気分になったりするものがたくさんあるんです。
今回は、校閲歴5年の筆者が、先日訪れたドイツで見つけたおもしろい日本語訳をご紹介したいと思います。
その日本語訳があったのは南ドイツ、
かつてのバイエルン国王ルートヴィヒ二世が築城したノイシュヴァンシュタイン城(某テーマパークのシンデレラ城のモデルとして有名な城です)にほど近い、
とあるサービスエリアでした。
飲み物の販売ケースの前に展示されていたフォルクスワーゲン〝ビートル〟。
レトロで可愛らしいそのフォルムに目を奪われていると、
ふと車体横に「日本語」の張り紙があることに気がつきました。
ヘ、ヘルマン!?
まるで車(ヘルマン?)が話している体の、日本語とドイツ語、
そしておそらく翻訳ソフトの融合によって生み出されたこの不思議な文章。
もちろん校正したい箇所は多々あるのですが、
一生懸命書き写したことが一目でわかる手書きの文字とも相まって、何だかすごくほっこりしませんか?
日本語に敏感になると、日常に潜む日本語の間違いを発見できるだけでなく、こんな風に海外旅行がより楽しくなる〝発見〟をすることもあります。
あなたもぜひ、「校正・校閲目線」を自分のものにしてみてはいかがでしょうか?
Kao
校閲士・美術史修士。大学在学時に旅行したイタリアでアートに魅せられ、独学で美術史を勉強し大学院に入学、修士号を取得。
趣味はアート、歴史、ファッション、旅行、ご当地テディベア集め。
好きな画家はクリヴェッリ、クラーナハ(父)、モロー他。