舞台の上手で上手に上手投げする上手い役者~読み仮名って大事
こんにちは。『ダンラク』ライターの坪内悟です。
私、ライターのお仕事とは別に、
実は俳優としても活動をしたりしています。
舞台に出演する際は連日稽古が行われるわけですが、
その際には、演出家からの指示を台本に書き込むわけです。
ところが、後でそれを見返してみると、
悩んでしまうことがときどきあります。
そこには、こう書いてあるのです。
上手にハケる
『ハゲる』じゃありませんよっ!
『ハケる』!!!
この『はける』は、
「舞台上から登場人物(俳優)や道具類が袖に消える」、
つまり「退場する」という意味の舞台用語なのですが、
問題はその前の言葉。
『上手に』
・・・という言葉、あなたならどう解釈します?
たとえば・・・
・転ばないように気を付けながら、すばやく退場
・アイドルのようにバック転しながら颯爽と退場
・欽ちゃん走りで軽妙に退場
・いまどきムーンウォークで退場
・「私、この辺でドロンしやす」と同僚に気を遣わせないように退場
・・・なるほど。どれもいいアイディアですね。
でも悩みどころは、そこじゃないんです。
『上手』を
「じょうず」と読むのであれば、それでもいいかもしれません。
でも舞台では『上手』を「かみて」と読む可能性があるのです。
この『上手(かみて)』は、舞台用語で・・・
舞台の袖の方向を表していて、
客席から舞台を見て(つまり、お客さんの目線で)
右側を「上手(かみて)」と呼びます。
その反対、客席から見て左側が「下手(しもて)」です。
一説によると、
「身分の高い役を向かって右に。身分の低い役は左に。」
この上座(かみざ)・下座(しもざ)という
日本独自の文化が由来しているといいます。
あれ?ここで気づきません?
『上手・下手』は
「かみて・しもて」とも
「じょうず・へた」とも読むんです。
なんだったら、「うわて・したて」とも読めちゃうことに!
(送り仮名を「い」にしたら、「上手い」で「うま・い」とも読みますもんね!)
同じ漢字を書いても、“読み仮名”で、
意味合いや、使用するシチュエーションがまったく変わってしまうんですね。
なのに、漢字に “読み仮名” が振っていないことってよくありますよね。
次の文の意味、わかりますか?
・・・もうさっぱりわかりません。
そんな時は
前後の文脈から、どちらの意味か推測するしかなさそうです。
※ちなみに正解は
『舞台の「かみて」で、「じょうず」に「うわて」投げする「うま」い役者』
と読みます。
こうした言葉は他にもあるので、ちょっと調べてみました。
私なりに見分けるポイントを考えて「→」以降に書いてみましたので、
どうぞ参考にしてください。
『市場』
「いちば」= 定期的に多数の商人が集まり、商品の売買を行う場所。
→『楽天—-』は、ついつい買いすぎる(汗)
「しじょう」= ものやサービスが売買される状況を指す抽象的な概念。
→モテたくて、『デブ専の—調査』をしたことがあります。
『生物』
「せいぶつ」= 生きているもの。動物や植物などの総称。
→みんなみんな、生きているんだ友達なんだ~♪
「なまもの」= 煮たり焼いたりしていない食品。
→今日中に食べてください。
『人気』
「にんき」= 世間の評判。
→私はないので、誰からも飲みに誘われません。
「ひとけ」= 人がいそうな気配。
→一人暮らしの家に帰って、すると怖い。
『大人気』
「だいにんき」= 世間の評判がとてもいい
→ワイドショーでスイーツ特集の時によく使う言葉。
「おとなげ」= おとならしさ
→あります?そんなもん。
『十分』
「じゅっぷん」= 1分の10倍の時間。
→どん兵衛をこのくらい待つと、また違うウマさが!
「じゅうぶん」= 条件を満たし、不足がないようす。
→一度でいいから、言ってみたい言葉。
『心中』
「しんちゅう」= 心の中。
→よく “おさっし” される。
「しんじゅう」= 愛しあう男女が合意の上で一緒に死ぬこと
→『六本木—』は名曲。
『寒気』
「かんき」= 気温が低いこと。寒さ。
→そのまんま「寒い空気」。
「さむけ」= 寒い感じ。または、悪寒(おかん)
→医者へ行け。
『菖蒲』
「しょうぶ」= さといも科の常緑多年生植物で、水辺に生える。
→お風呂に入れる方。
「あやめ」= あやめ科の多年生植物。
→お風呂に入れない方。
・・・っていうか、なぜ同じ漢字にした!?
『最中』
「さいちゅう」= 動作が進んでいて、まだ終わってはいない時。物事が盛んに行われているとき。
→Hな意味でも使われる。むふ♥
「もなか」= 餡を皮で挟んだ和菓子
→『たねらく』という、もなかの皮の専門通販サイトもあるんですって。
『黒子』
「くろこ」= 歌舞伎などで、観客からは見えないというお約束のもと、
舞台上に現われて、道具などを役者に渡したりする係。
→関根勤さんがかつてやっていた役職。
「ほくろ」= 皮膚の表面にできる、黒い小さな斑点。
→千昌夫かそうでないかを見分ける目印。
30代前半でギリ分かる見分け方だな、こりゃ
いかがですか?
文脈から読み解けば、きっとどちらの意味か分かるはずです。
難しそうだって?
大丈夫。
あなたはこの記事中に出てきた
「読み仮名」「送り仮名」の『仮名』を
ちゃんと「かな」って読めたでしょ・・・!?
『仮名』
「かな」= ひらがな・カタカナ
「かめい」= 仮の名前