ソフトウエアと制作目線で見る校正④ 郵便封筒のルール
印刷・出版の制作側から見て、データの特性や起こり得るミスを紐解くシリーズの4回目は郵送する場合のビジネス封筒のルールについてです。
郵便局はルールだらけ
前回レイヤーの項で、DPS(デジタルプリントシステムorサービス)について触れました。
お客さまのデータを各々印字したDMです。DMには封筒が付きものです。宅配便で送付する場合もありますが、やはり郵送がだんぜん多いです。
大量に発送するDMは郵便料金の段階的割引制度があり、機械で読み取りをするために細かくルールが設定されています。
このルールを知らないと、制作したDMが郵便局で受理されず、損害を出してしまうことも。しかもルールが多岐に分かれており、郵便局のHPは正直言って探しづらいので、制作に関係のありそうなところだけまとめました。
(記載のURLはすべて日本郵便公式HPですが、画像は当ブログオリジナルです)
定形郵便と定形外郵便
定形か定形外かで郵便料金が変わります。クライアントが12×24cmで封筒を作ってと言ってきたら、「23.5cmなら定形で行けます」と言えるとグッドです。A4の書類を折らずに封入する場合は定形外になります。
定形封筒・通常はがきのサイズ
上記以外のサイズは定形外料金が適用されます。また、はがきの場合、郵便はがき料金を適用するために、必ず「郵便はがき」と明記します(英文で「POST CARD」も可)。
送付用は料金別納か料金後納、返信用は料金受取人払
企業からの送付用は料金別納か料金後納で制作します。お客さまから企業への返信用は料金受取人払で制作します。まずは返信用から説明します。
【返信用】料金受取人払について
お客さまから提出していただく書類などの返信用、あるいは通販の商品申込用などに使用します。この料金受取人払は、あらかじめ郵便局の承認を受ける必要があります。承認はゲラ刷りで行えます。料金および手数料は後納とするか、または配達された際に支払います。後納の場合は原則として所定の担保が必要になります。
https://www.post.japanpost.jp/fee/how_to_pay/uke_cyaku/index.html
A) はがき・封筒の場合は「料金受取人払郵便」、荷物の場合は「料金受取人払」と表示する。
B) 枠線の外側の大きさは、縦22.5mm、横18.5mmで、枠の太さは、0.5mm以上です。また、料金後納とする場合は、枠の内側にもう一つ枠を設け、二重枠とします。
C) 承認番号の活字の大きさは、12ポイント以上。
D) 表示と郵便番号記入枠との間隔は、5mm以上。
E)「速達」とする場合は、表面右上部に朱色の横線(横に長く使用する場合は右側部に朱色の縦線)を表示。
F) 速達以外のオプションサービス「新特急郵便」、「書留」、「簡易書留」、「特定記録」、「巡回郵便」も利用可。その文字を記載。
(書留の場合は損害要償額が、現金を内容とするものは1万円、現金以外の物を内容とするものは10万円をそれぞれ超える場合は、書留の文字の下の括弧内にその額を記載)
G) 用紙を使用する場合は、郵便物等の種類(「定形郵便物」、「定形外郵便物」、「郵便はがき」、「荷物のサービス名称」のいずれか)を記載。
※表示に使用できる色は、青・緑・黒のいずれかです。
郵便番号の枠について
枠は大きさが厳密に定められています。下記URLでご確認ください。色は朱か金赤で印刷します。スミ1色刷りなどの場合は、枠はアタリにして印刷しないことが多いです。郵便局のHPにはアタリにしろとは書いてないし、巷では黒枠も見かけますが、「(朱・金赤は)黒又は青系統のインクを混入しないもの」と書いてあるので、念のためです。
https://www.post.japanpost.jp/zipcode/zipmanual/p05.html
バーコードの表示
郵便物の種類が定形郵便物または郵便はがきで、オプションサービスを付加しない場合は、封筒、郵便はがきまたは用紙に郵便局の指示する番号を表す所定のバーコードを表示してください。(バーコード作成ファイルは料金受取人払のURL参照)
【送付用】料金別納と料金後納について
どう違うかと一言で言えば、料金別納はその都度送付の都度払いで、小ロットでも受けてくれます。送付用の料金後納は毎月一定量送付で月払いになります。料金別納の方が制作頻度は高いでしょう。下記の条件があります。
料金別納:https://www.post.japanpost.jp/fee/how_to_pay/separate_pay/index.html
料金後納:https://www.post.japanpost.jp/fee/how_to_pay/deferred_pay/index.html
大まかな違い
料金別納 | 料金後納 |
事前承認は必要なし(割引なしの場合) | 事前承認が必要 |
担保は必要なし | 担保が必要 |
その都度差し出し(10通以上)でOK | 毎月一定量(50通以上)の差し出しが必要 |
その都度料金をまとめて支払う | 翌月に料金を振込か口座引き落とし |
料金別納(後納)郵便表示について
ここからは料金別納で説明しますが、料金後納も同様です。その際は別納を後納に差し替えてください。
・差出事業所名の下に2本線がある場合は、その間隔が1mm〜2mmまで。
・「差出事業所名」は、郵便物・荷物を差し出す郵便局名を表示します。(例:銀座郵便局へ差し出す場合 → 銀座局)
・差出事業所名を空けたまま印刷する場合もあります。
・下部に差出人の業務を示す広告等を入れられます。広告部分は2分の1以下に収めてください。(広告内容は公序良俗等の制限あり)
2本線か1本線かには意味がある。料金別納表示の方法
https://www.post.japanpost.jp/fee/how_to_pay/separate_pay/syousai.html
1本線、2本線、3本線は、送達日数を表しています。線が多くなるごとに郵便料金の割引率が高くなります。割引を受けるには事前承認が必要です。
1)1本線:下記2)3)以外の郵便物・荷物
2)【特割】2本線:通常配達日数プラス3日程度の余裕を承諾した広告郵便物、区分郵便物、第三種郵便物。2,000通以上が対象。郵便番号ごとに仕分けをして札をつけ結束して出す。
3)【特特】2本線+1本線(3本線):通常配達日数プラス7日程度の余裕。5万通以上が対象。他は2)と同様。
別納(後納)郵便表示の位置と窓の位置
「郵便物・荷物の表面左上部(横に長く使用するものについては右上部)に上記の表示をしてください。」と、あります。窓の位置も合わせて下記URLでご確認ください。
https://www.post.japanpost.jp/zipcode/guideline/05.html
窓の素材:セロファンのように透明度の高いもの(JIS P 8138試験による不透明度が20%以下のもの)。
あて名用窓の大きさ(内国郵便約款):短辺45mm以上、長辺80mm以上。
https://www.post.japanpost.jp/zipcode/zipmanual/p43.html
定形郵便物・はがき作成のガイドライン
他に、重量や紙の強度なども細かく定められています。重量で承認されなかったという事例もありますので、ご自分に必要なところは下記からお読みください。
https://www.post.japanpost.jp/zipcode/guideline/index.html
以下のことについて書かれてます。
・定形郵便物・はがきの基本条件 (大きさ・重量)
・定形郵便物・はがきの基本条件 (厚さ・包装)
・郵便物の柔軟性・吸湿性
・内容物の移動・紙質
・窓付封筒の注意事項
・合成樹脂封筒の注意事項
・濃い色・蛍光色郵便物、圧縮はがき
・ミシン目入り封筒(バーコード割引対象チェックシート)
・ミシン目入り封筒(通常タイプ)
・ミシン目入り封筒(ジッパータイプ)
・ミシン目入り封筒(山型タイプ)
・ミシン目入り封筒(折り畳みタイプ)
・ミシン目入り封筒(ハ型タイプ)
・JIS S5502「封筒」に適合する封筒の条件
・合成樹脂封筒のカスタマバーコード割引条件
・バーコード付郵便物の料金割引
泣きを見ないために、十分ご注意ください。非常に細かい郵便局員に当たった場合は、0.5mm大きくても許してもらえないんですよね。紙は伸びますし、断裁・折りでずれる場合もあります。慣れた営業さんだと「定形封筒の最大サイズより2mm減らしておいて」とおっしゃいます。
なお、最新情報は必ず郵便局のHPを確認するか、郵便局へ直接お問い合わせください。
次回は「RGBとCMYK、カラーモードの違い」についてです。
どうぞお楽しみに。