意外とややこしい? 「正確な言葉」を使うということ
個人的な話なんですが、ちょっと聞いてください。よく
「《好きな食べ物》《嫌いな食べ物》なんですか?」
っていう質問あるじゃないですか。
みなさん、常日頃からあれに正確に答えられています?
よく考えてみると、意外とややこしいことを聞かれているんですよね……。
餡子。
和菓子に使われるあの子ですよ。
あの子いいですよね、ローカロリーでヘルシーだし、色もシックで実にエレガント。
佇まいがもうお洒落だし高級感もあるし。
チャラチャラしてなくて品があって、すごい憧れます。
とても素敵です。
でも……でも私、餡子食べられないんですよ。
美味しいと思えない。おえってなる。悲しい。
あんぱんを美味しく食べられる人生が良かった。
アンパ●マンが助けに来てくれて「僕の顔をお食べ」って1欠片くれても
食べることができない……何と言って謝ったらいいのか分からない!
マグロ(高級品)。
すごい高い寿司ネタとかに使われるやつ。
なんか、一匹500万円とかするやつ。
美味しいんでしょうけど、何か鼻につく。魚ごときが調子乗ってるっていうか。
グルメとか通の人が「貧乏人にはこの味は分かるまい」みたいなこと言っちゃうし。
安くても美味しい秋刀魚さんとかの方がよっぽど偉いですよ。
なんか気に入らない。
でも食べられます。悔しいけど、美味しいです。
お寿司なら10貫くらいいけちゃう。
お刺身とかもう最高!
(でもこれは変に格付けしてチヤホヤする人間の方に非がある話だな)
グリーンピース。
彩りとかに主に使われがちなヤツ。
単刀直入に言ってキライです。
第一あいつ、遠慮ってものがないよ。
子供たちに不人気で有名なピーマンさんだって、お肉さんと一緒に調理されれば
「あ、自分はお肉さんに主役譲ります、ちょっと大人しくなります」
って一歩引いた味わいになるのに、グリーンピースはあの青臭い苦味と食感での
自己アピールを止めない。
加熱しても変色せず固い皮を保ったままで我を通す。
飽くまでも存在感を主張する。
なんて図々しいヤツだ!
食べたくもないね! 食べてやるもんか!
チョコレート。
言わずと知れた、お菓子界の絶対王者。
一粒800円という強気設定のものから一枚78円で買えるものもあるという、
柔軟な姿勢も絶大な支持を得る理由のひとつですね。
日本では主に2月くらいにフルパワーを発揮するものの、
毎年秋にはニューフェイスを次々と世界に送り込み、
夏には抜かりなくアイスクリームたちとコラボ。
春には我々の心をつかんでやまない、
桜と溶け合い生チョコにもなってしまうというポテンシャルの高さ。
もはや尊敬するしかない。
しかも美味い。
ほろ苦いカカオ重視からクリーミーな甘さまで、
味の幅が無限大。
造形も多彩。
これもうキライな人いないでしょう!
いかがです?
存在自体が好きだし食べるのも好き。
食べ物としては許しがたいが、美味しいから好き。
愛してはいるけど、食べられない。
食べたくもないし、存在自体認められない。
好き嫌いを一口に言っても、これだけの視点があるのです!
きっと明日からはあなたも「好きな食べ物は何?」
と聞かれたら考え込んでしまうことでしょう。
正確な言葉を使うということは、これほどに?厄介なことなのです!